未来人材 Interview 5
Haiyan Zhang
Microsoft Research
知的好奇心の追求
元々は大学でコンピューターサイエンスを学んでいて、その後何年かソフトウェアエンジニアとしての経験を積みました。そしてマスターズではインタラクションサイエンスということをやっていました。様々な分野での技術、ソフトウェアを見る、あるいはハードウェアのプロトタイピングなどを行う、ということをやっていました。その後IDEOという会社で情報技術のコンサルタンシー業務にあたりました。つまり色んな人と話し、彼らが何を必要としているのか知見を得て、それを技術のソリューションとして提供する、ということをしてきました。そしてその後マイクロソフトに入りました。マイクロソフトリサーチは研究機関なので、もともと設立時は基礎研究をリサーチする、ということで設立されました。本来なら大学で教えているような人たちがリサーチャーとして集められ、リサーチャーが何を追求したいかによって色々と決まっていきます。自分たちの知的好奇心を追求するということに対して信頼されているので、こういうことをしようと私たちの方から提案していきます。例えば、「Project Zanzibar」というセンシングマットを開発した際私たちのチームは、物理と触覚をどういう風に合わせるかということを考え、新しい技術を発明しました。また別のプロジェクトでは、人々を観察し、デザインは他の分野から学びを取り入れ、一定の過程のもとで直感に従って行う、というプロセスをまとめた結果、パーキンソン病の人々が文字を書くことができる、「Emma Watch」の開発に成功することができました。密に計画してこのようなキャリアになったわけではありません。好奇心や関心のあるところを追求していったらこうなりました。ソフトウェアエンジニアだった時は色んな人と仕事をし、話をしながらどういったソフトウェアを構築すればいいのか、どうやったらそれが作れるのか、という発見をするのが非常に楽しかったです。
「褒める」ことはチームワークの一環
チームを組んでプロジェクトに取り組む際は、世界観は皆似たようなものを持っていると思うのですが、専門領域が違うと話し方のスタイルが違うことがあります。ですから、話し方のスタイルをその人たちの専門領域に合わせて変える、ということは非常に役立つと思います。例えば設計寄りの人やデザイン寄りの人ならそれなりの話し方、技術系の人ならそれなりの話し方に変える、ということが重要になってくると思います。また、日々の仕事の中で必ず人を褒めた方が仕事の成果が上がると思います。ですから常にできるだけ人を褒めようと心がけています。それは評価の一環というよりも、チームワークの一環だと考えています。自分自身を高めるためには、常に多くのことを学習するということが大事だと思います。今はマシーンラーニングを勉強しようとしています。なぜならこの新領域を知ることは非常に重要だと思うからです。機械学習によって今後のソフトウェアや技術が様変わりすると思いますので、今から参画しておくことが大事だと思っています。仕事以外のことでいうと、3歳半の子供の面倒を見ることで息抜きをしています。
多くの人の視点を捉える
人材育成をする際には、学際的であり、他分野にまたがるアプローチということが大事だと思います。コンピューターサイエンス、デザイナー、ユーザーリサーチ、といった、なるべく違うバックグラウンドで異なる意見を持った人を巻き込んで関与した方がいいと思います。そうすることによって、自分たちが作る製品が、より多くの人の視点を捉えたものになると思います。誰しも意見や発想の違う人、優先順位の違う人と話そうとすると、トラブルに直面するという課題はあると思います。しかし大事なのは、様々な異なる意見の人と話せるスキルを得ていく、ということが大事だと思っています。またビジネスの世界では意見が異なる、同意にならないということは悪いことではありません。議論したからといってそれが負の要素になるのではなく、自分の意見を堂々と主張し、考えがまとまらなかったとしても、それが前に進むきっかけになると思います。今後は多様な人材が必要になってくると思うのですが、その中でも個人の資質として重要なのは、常に好奇心を持って学び続ける、そして他の人と働くことにオープンな考えじゃないと難しいと思います。なぜなら、今技術が非常に複雑化していて、新しい技術を生み出すのにチームでなければできないのです。ですから個人の専門性や個性と、チームで取り組めるスキルを持っているということが重要だと思います。