未来人材 Interview1

未来人材 Interview 1

David Benjamin

The Living


David Benjamin

ハーバード大学で学位取得後、コロンビア大学建築大学院修士課程を終了。Autodesk社のスタジオ「The Living」を企画監修する。彼の研究は生物学、計算、循環経済の枠組みを通して、環境持続性の定義を拡大することに重点を置いている。米Rolling Stone誌に”未来を形作る25人”の1人として選ばれる。近年のプロジェクトには、プリンストン大学Embodied Computation Lab、Pier 35 EcoPark、Hy-Fiなどが挙げられる。現在はコロンビア大学建築大学院にて准教授も務め、世界各国で建築環境デザインプロジェクトに携わる。

様々な経験から生まれるクリエイティビティ

現在「The Living」という小さなスタジオのディレクターを務めております。そこで様々なデザインのアプローチや美術や素材といったものを研究し、それを実際のプロジェクトに反映させ、そのアイディアがうまくいくかどうかテストを行っています。そこで生まれてきた結果をもう一度コミュニティにフィードバックします。その1つがオートデスクの研究開発部門や、学会に知見を共有していることです。現在は建築家という肩書きですが、これまでの背景や経験、自分自身の関心は様々な分野に渡ります。大学時代先行していたのは社会学で、歴史、経済、社会学、哲学を含んだものでした。卒業後すぐ、ソシアルサービスという組織で仕事をしていました。あまり恵まれない子供達を対象にして様々なサービスを提供したり、公園を作ったり、という活動をしていました。それと同時にまだWebが生まれ始めた当時、テック関係のスタートアップ企業でも仕事をしていました。そしてインディーズのバンドでロックをやっていた時期もありました。こういった様々な経験があったお陰で、その後建築の世界に入ったわけですが、広い視野を持って学習に臨むことができました。様々な技術や社会、世界の動向全てが大きく激変している中で、問題の解決方法も変わってきていると思いますし、モノをクリエイトする方法も変わってきていると思います。そこで自分の幅広い経験が活きてきていると感じています。なぜ建築を選んだかというと、建築を通じてアートとサイエンスを融合できるのではないかと考えたからです。そして新しい可能性を見いだし、枠組みを作っていきたいと思っています。また、世界的な地球規模の課題、例えば環境の持続性、バイオテクノロジーの問題、AIの取り扱い、気候変動に立ち向かう、といった様々なことができるのではないかと思ったからです。そしてそれはとてもクリエイティブな形で、協業し、コラボレーションしながら作業ができると思いました。それ以降、建築に対しての関心、エンゲージメントを高めてきました。モノを実際に物理的に生み出して造り出していくということは、色んな考えを試す素晴らしいきっかけになります。私がやっているのは建築とその試作を行うこと、これを通じて様々なトピックと関わりを深めていき、色んなことを実験していくことが可能となります。それとともに様々なプラスのインパクトをもたらすことができると考えています。建築で何かを造るということが最終的な目標ではなく、プロセスという風に捉えています。

多様な人とオープンエンドで協業していく

また私たちは常にチームで作業をします。色んなアイディアをスケッチするところから始まり、オプションを考えたり、お互いフィードバックを与えたり、議論を行なったりします。この進め方が非常にうまくいっていると思います。そして議論する中で、チームにもっと多様性をもたらした方がいいと思います。広い視野を持った多様な人たちを連れ込むことによってまた違う見方ができる。そうでないとどうしても小さな輪の中での発想になってしまうので、もっと広げる必要があると考えています。様々なことに対して、これまでのやり方と比べてもこういったチーム型の進め方が有効だと感じます。昔であれば設計を一人の天才が全てを推し進めるといったイメージだったのですが、それは間違いだったのかもしれません。実際にオープンエンドで協業しながら分散型のモデルで多くの人が貢献をする、というモデルがプロセスとして有効ではないかと考えています。オープンエンドな形で作業をすることと、あまり序列やヒエラルキーのない形でのチーム作りをして、全員が意見を言えるような環境づくりをします。あとは権限を与えて、個人それぞれが決定できるような環境を整えることが必要です。もう1つ重要なのは、それぞれ個人がまだやったことのないような事をやらせるということです。通常なら、得意な事を何度も繰り返しやらせることが多いかもしれませんが、そうではなく何かそこから一歩踏み出した新しい事をやることによって、学習を得ることができます。よりオープンエンドな形での体制を整えることによって、新しい可能性や新たなアイディアが発見されていくと思います。自分自身も自分にとっての当たり前というものを常に疑うようにしています。そして、社会にとっての当たり前も疑うようにしています。色んなブラインドスポットがあるのですがそこから脱却できるように意識をしています。