未来人材 Interview 6

未来人材 Interview 6

Alanson Sample

University of Michigan 


Alanson Sample

ユビキタス·コンピューティング、サイバー物理システム、ワイヤレス技術など幅広く研究している。Intel LabsやDisney Researchにて様々な研究に携わる。Intel Labsではワイヤレス給電、エネルギー収集、RFID、ユビキタス·センシングに関するプロジェクトに従事。Disney Researchではエグゼクティブ·ラボ·ディレクターを務め、ロボット工学、人工知能、コンピューター·ビジョン、ヒューマン·コンピューター·インタラクションの開発を担当した。現在はミシガン大学にて電気工学とコンピューターサイエンスの准教授を務める。

自分で出した結果が真実を語る

学生時代は電気工学を学んできました。卒業してからは、コンピューターサイエンスの研究所に勤めていました。その後、「コンピューターサイエンスと電気工学の交差点」という部分に着目してまいりました。これまで、人間が働いたり、仕事をしたり、遊んだりする中で、役立つようなシステムを作ってきました。それがIoTであれ、ヘルスケアであれ、一般的なコンピューティングであれ、「人間のことが分かることで、より良いサービスができる」、というところに注目して取り組んできました。エンジニアという職業は、まず自分でやってみて、自分で振り返ってみなければ、何もわからないわけ職業です。例えば、重力の加速度を測定するということは自分でしかできないですし、他人と議論することもできない、他人に何か言われてどうにかなるものではありません。そこで、自分が測定した結果が真実であるとき、それが自分の拠り所になります。「完全に理解した内容こそが真実を語る」というところに魅せられたのだと思います。また、多くの人にとって、このような仕事をしていて抱えてしまう課題は、たくさんのイノベーションを生み出すことなのですが、それが人間に対してどういうインパクトがあるのか、ということを考えない場合があるという点です。ですから私の場合は、センシングなどの技術を実際に使うことによって、「どういった楽しい価値」を「人間にもたらすことができるのか」を考えるように務めております。物理や電気工学でも、テクニカル・イノベーションを起こしてシステムとして落とし込んだときに、人間の行動にどのようなメリットがあるか、ということを実証するようにしているのです。

現在でも続けていること

現在も続けている私個人の向上としては、「様々なカンファレンスに出かけて、他の人たちがやっている研究や作業を学ぶ」、ということです。また息抜きに関しては、エスプレッソを飲むことでリフレッシュしています。他にも4歳になる娘と遊ぶことが活力になっています。

プロジェクト成功に向けたあらゆるピースを集める

チームで働く際には、私の場合は異分野の人たちと一緒に働きます。必ずしも私と同じ専門分野ではなく、例えば生物学、コンピューターサイエンス、電気工学、機械工学の専門家、あるいは外科、内科医といった先生ともお話をしなければならない機会があります。ですから、必ずたくさんの分野からの人を集めて、適切な問題提起をして、そして適切なタイミングで行うことも重要になってきます。部下や学生に対しての環境づくりで大事なことは、成功のための環境を用意してあげることだと思います。ですから、リサーチであれば必要なリソースを提供する、資金や研究用の資材、プロジェクトに必要なリソースを確保すること。例えば学生の場合はインテレクチュアルなリソースを提供するということも大事です。つまり授業を受けられる体制を整える、相談や質問できるメンターを置くこと、同様な学生がいる環境を確実にすることなどです。プロジェクトの成功に向けたあらゆるピースを集めてきて、それを用意するのが私の仕事だと考えています。その中には専門分野におけるアドバイスや、方向性を示してあげることなども含まれます。良い人材というのは、ちゃんとモチベーションを持って、確信を持って自分の意見を持っている人だと考えています。そうはいってもそれが間違っていると証明されたら、頭を柔軟に切り替えられる柔軟性を併せ持つ人じゃないといけないと思っています。というのは、リサーチの場合なにかこうだと信じたら深くそこを追求していくのですが、そこで頭が硬すぎるとうまくいきません。ですから、柔軟性も合わせ待つことが重要だと感じます。リサーチ、研究というものは失敗がつきものです。リサーチ、研究=失敗だと思っています。正しい答えが何なのかということが最初から分かっているわけではないからです。失敗するのであれば早く色んなアイディアを出して、うまくいかないものは排除していく、ということが大事だと思います。ですからリサーチプロジェクトの中で追求していたものが不可能だと分かったら、そこから学ぶということが大事です。そうやって繰り返すことによってポジティブな結果が出てくると思います。また、人材育成の際一番大事なのは、従業員が何にモチベーションを感じるのかを理解することだと思います。つまりそれを理解し、助長してあげればエンゲージメントを高め、パフォーマンスが上がることになります。逆にそこにミスマッチや誤解があれば、チーム全体のパフォーマンスが下がってしまうことになるので重要なポイントだと思います。