未来人材 Interview3

未来人材 Interview3

Michael Hansmeyer

Computational Architecture 


Michael Hansmeyer

INSEADにてMBAを、コロンビア大学で建築学の修士号取得。
建築家でありプログラマー。コンピューターによるアルゴリズムを使用して生成された構造体を使用して作品を製作している。ポンピドゥーセンターとFRACセンターでは彼の作品が常設展示されている。ウィーンの芸術アカデミー客員教授、中国の東南大学客員教授、チューリッヒのスイス連邦工科大学(ETH)のCAADグループの講師も務める。

「ゼロ」から生み出す

元々は、全く何もないところから何かを生み出したい、という願望がありました。そして建築を学び、様々な事を学んできたのですが、その学んだ事を一度全て消したいと思いました。習ったことも、自分が目にしたものも、一回忘れることによって何か新しいものがもたらされるかもしれない、というナイーブで単純な思いがスタート地点でした。一方で、既存のあるものと比較したり評価したり、というアプローチ方法もあったのですが、私にとっては難しい事でした。そういったものを全て無視して最初から始める方が簡単でした。コンピューターを見ながら色々考えてみたのですが、やはり一度リセットする、といった形の方が自分にとってはやりやすかったです。私にとってのコンピューターとはパートナーのようなもので、芸術的なインスピレーションをくれるミューズのようなものと捉えています。そして色々なものをクリエイトする際に手助けをしてくれるものです。もちろんコンピューターに対してコマンドを送ったり、と操作はしますが、逆にコンピューターから出してきた結果が予期していなかったものであったり、全く新しいものであった、という場面も多々あります。コンピューターは機能を満たすという役割がありますが、私の場合セッティングを生み出してくれるものでもあります。自分が想像していなっかたものを生み出してくれるという存在です。

試行錯誤を繰り返して組み合わせていく

初めから現在のような作品を創れたわけではなく、試行錯誤を繰り返していました。コンピューターデザインの1つの力は、一瞬にして何千というヴァリエーションを一気に生み出すことが可能な点です。その1000のうち999個のものは美しくなく、そのうちの1つがいいかもしれない。そしてその一個を取り出し、そこからまた沢山の子供を生み出して、そこからまた良いものだけを抽出して、またそこから生み出す、という繰り返しで増殖していく、それがコンピューターデザインの特徴です。通常の設計などを行うときは順番に段々と進めていくものが、コンピューターであれば複数のことを同時にやっていって色んなものを生み出し、最終的にこれとこれを組み合わせてみよう、という作成方法がとれます。今まさにそれに取り組んでいるところです。AIを使ってコンピューターのトレーニングを重ねていき、最終的にコンピューターが美しさを判別できるかどうかを、色々と試しているとことです。美しいかどうか、新しいかどうか、人々の関心を引くかどうか、また、人々を喜ばせるようなものを見いだすことができるかどうか、そういった事をやろうとしてはいますが、今のところそれは非常に難しいという結果です。単純に、十分に明かりがあるか、スペースが広いか、など機能性を判断させるものであればコンピューターで簡単にできるのですが、そうではなくもっと感情に訴えかけるという個人的なものであるがゆえに、コンピューターがそれを行うのは非常に難しいのが現状です。

常にハングリーであること

人材開発は非常に難しい問題だと思います。私の考えは、まずはスキルを教え込むのも1つですけれども、それよりもっと初期の早い段階において、自立性や自信といったものを生徒に植え付けるということが有効だと感じます。自分でアイディアを持って、きちんと責任を持ってリードしていき、最後までやり遂げるということ。教師としては横から支援するということ。それが人材を育成する上で最も効果的だと思います。もちろんそれが正しいとは言い切れません。なぜなら日本の建築の学校では、三年間ずっとデザインのコピーだけをやっているところもあります。欧米ではそれでうまくいくのか、と疑問を持ちますが、実際は日本から素晴らしい技術やユニークなデザイナーが生まれているので、もしかしたらその手法も有効なのかもしれません。常に好奇心を持ち続けるということ、そして外に目を向けるということ、地理的にもそうですし、自分の関心を持つ分野についても横にあるものではなく、もっと遠くまで関心を持つということ。一番大事なのは常にハングリーであるということだと思います。自分の支配力や自分の自立性、自主性のようなものは部分的に制御するようにしています。通常建築であれば常に全てを自分で支配したい、完全に自分の手中に収めたいと願うのですが、そうではなく、少し手放すことによってそこから全く予想していなかったようなものや、驚くようなものが生まれてくる。その驚きが大胆な場合において、プラスの方向に向かいます。