未来人材 Interview 2
Matt Jezyk
Tesla
全く違うものをどのように繋ぎ合わせるか
私は建築家とコンピュータープログラミング、両方を学んできました。なので、建築家として仕事をしつつも、一方で様々なコンピューター関係のスタートアップに関わることもできました。それが後にデヴィットテクノロジーになりました。そこでコンピューターシステムデザインや、インフォビルディングツールなどの開発を行っています。私の目標は、デザイナーをする人物、コンピューターサイエンス、数学家など、全く違うものをどのように繋ぎ合わせるか、そこでどのようにコラボレーションができるのか、そういったテーマを考え続けています。色んなタイプの人々、色んなバックグラウンドの人々を集めて1つの課題に取り組むことで、どんなものが生まれるのか、といった事を楽しみにしています。建築家として様々なプログラムを手がけ、人事としても様々な人材を確保する中で、「Dynamo」といったアプリケーションの開発に至りました。オートデスクでは20年間仕事をしてきました。スタートアップからデヴィットに至るまでに10年間を費やし、その後Dynamoの開発などで10年間働いていました。そして今年の2月にテスラに移ったばかりです。現在チームとして、車を作るマシーンを作るためのマシーンを作っています。そして車のデザインができたら、実際にどうやって効率的なプロセスで製造していかに最適化するか、といった事を考えます。私の仕事は他にも、コンピューターデザインとジェネラティブデザインと最適化、といったもの、それをどう応用していくのか、そして建物としてより効率的なものを造ること、そのプロセスの導線などについても考えることです。このような仕事をする上で自分にとって重要だったのは、人との関わりでした。自分自身デザイナーですが、自分で全てできるわけではなく、自分一人でできることには限界があります。そうした中で、私はものを作るのではなくて組織を作る、組織をデザインする、といった事をやってきました。つまり人を採用し、チームの中に振り分けていき、そこで結果を出してもらいます。問題に直面しても、非常にクリエイティブで頭脳明晰な人がその中にいると、信じられないような素晴らしい結果が生まれてきます。ですから、いかに正しい人を見出して、正しい方向に導いていくのか、そうする事で単独では成し得られない物凄く大きな事を達成できる、という感覚があります。人事の仕事の際は、世界中様々な国の人々を採用するようにしています。単純に国や男女という違いではなく、色々な考え方や視点を持った人を引き寄せようと考えています。それぞれ皆、世界の見方や捉え方は様々です。アメリカですと西洋的なプロセスに偏りがちなのですが、ある問題が発生した際に、様々な視点から考えられるように工夫をしています。様々な背景を持った人を1つの場所に集めて大きなものを生み出すということが、どんな会社にとっても重要なのではないかと思います。それを実行できる体力を持った企業であれば、大きなメリットになると思います。
リスクを取るメリット
私の仕事は必ずリスクを取らなければなりません。なので、場合によってうまくいくものもあれば、そうでないものもあります。失敗してしまうと自分を攻めることになりますし、自分だけでなくチーム全体も責任を追うことになります。プロジェクトが休止してしまうこともあるし、中にはクビになってしまうようなメンバーもいました。それに対して責任を負うことになります。しかしこれまで働いた会社は、その失敗も受け入れてくれる会社でした。いつも成功していると、逆にそれはリスクを取っていないのでよくない、という考えの企業とこれまで仕事をしてきました。半年以上かけたプロジェクトが不採用になったこともあり落ち込みましたが、メンターや周りの方が、「いい仕事だったよ」「君のせいじゃない」と声をかけてくれて復活できた、という経験があります。
大きな転換点の中、変化にオープンになる
人材の育成をしていく上で、過去にとらわれ、変化に対してオープンではない、といった状況ではダメだと思います。新しいアイディアを取り入れるということは、社内に一定の混乱を受け入れなければならないということです。ディスラプティブテクノロジーという考え方があります。既存の企業であれば、お金や一定の製品もあって、収入も確保されているが、それはいずれ枯渇してしまう。そういった中で、いつ次のものを投入して、それがいつから収益を生み出すようになるか、といったことを考えなければならないと思います。